Q10のドロップ

South: A98   North: KJ765    の場合を考える。
Aを取ったら、Westが2をプレーした。
もしEastから10が1巡目に出なかった場合は、8エバー、フィネスが良いに決まっている。
ところが、1巡目にEastが10をプレーした。2巡目の9のプレーには、Westは3をプレーした。
Jでフィネスすべきか、KでQのドロップを狙うべきか。
A: Eastが1巡目に10をプレーする
という事象が、
B: Eastが10のシングルトン
C: EastがQ10の2枚
の2つの場合に限られるのなら、4-1のブレークは28.3%、3-2のブレークは67.8%、だから、
\[
P(B) = 28.3\% \times 1/2 \times 1/5 = 2.83\% \\
P(C) = 67.8\% \times 1/2 \times 1/10 = 3.89\%
\]
フィネスとドロップのどちらが良いか、使うまでもないがベイズの定理で計算すると
\[
P(B|A) = \frac{P(A|B)P(B)}{P(A|B)P(B) + P(A|C)P(C)}\\
= \frac{1.0 \times 2.83\%}{1.0 \times 2.83\% + 1.0\times 3.89\%}
\simeq 0.421
\]
となるから、ドロップが正解。一般の試合で、多くのエキスパートは、ペア戦で2巡目にKをプレーする。
ところが、
D: Eestが、10とスモールカード(Q以外のカード)の2枚の時
10をプレイするかもしれないとしたら、どうだろう? 実は、上手なEastは常に10をプレイするのだ。
もし、このようなEastの場合は、上の確率は大きく変わる。 \(P(D)\)の計算は少しだけ面倒だが、
\[
P(D) = 67.8\% \times 1/2 \times 2/5 \times 3/4 = 10.17\%
\]
だから、フィネスが成功する場合(BまたはD)の確率をベイズの定理で計算すると、
\[
P(B or D|A) = \frac{P(A|B)P(B)+ P(A|D)P(D)}{P(A|B)P(B) + P(A|D)P(D) + P(A|C)P(C)}
= \frac{1.0 \times 2.83\% + P(A|D) \times 10.17\%}{1.0 \times 2.83\% + P(A|D) \times 10.17\% 1.0\times 3.89\%}
\]
実は、Eastは、10とスモールカードの2枚の時、10をプレイ「できる」のだから、最初から、この事象Dを考慮に入れてベイズの定理を使わなければならなかったのだ。もし、このプレイ「できる」のにプレイする確率\(P(A|D)\)がゼロ(初心者)なら、フィネスの成功率は先ほど計算した通り、約42%になるから、フィネスでなくドロップを狙うべきだ。もし、常に10をプレーする(上級者)相手なら、\(P(A|D)\)は1だから、フィネスの成功率は上の式から約77%になる。Eastが上級者の場合は、フィネスの方が良いのだ。
10とスモールカードを持っているEastにとっては、1巡目にスモールを出すと、相手は2巡目にフィネスし、それが成功するのを知っている(ディクレアラーがQも持っていてこのスートをプレイしている場合はさておき)。だから、10を出して、相手に「間違うチャンスを与える」プレイをすべきだ。不必要に大きなカード(この場合は10)を出すのはfalse cardと言うが、この場合の10のプレイは、mandatory faulse カードと言う。